放射線被曝を「けがれ」として差別するな

Tag: 東日本大震災 原発

うみほしさんのHPから許可を受けて掲載します。


ニュース報道で看過できないことがあったので、HPという一般公開の場でも意見表明をしておこうと思う。
MIXIニュースによれば、 
福島第1原子力発電所の事故に伴い避難した人たちが、放射線量を確認するスクリーニング検査で「異常なし」とする証明書を提示しなければ医療機関で受診できないケースがあることが分かった。避難所に入所する際、スクリーニング検査を事実上義務付けられるケースも。専門家は「非科学的な偏見による過剰反応だ」と指摘している。【平川昌範、阿部周一】

これは「けがれ」思想そのものと思う。
「けがれ」とはかつで流行した思想で、今もしぶとく生き残っている。要点をかいつまんで説明する。

(1)「けがれ」とは、何らかの物質で「水で洗う=みそぎ」で取り除くことができる。
(2)「けがれ」は人体に残留し,他者に移ることがあるとして、言われ無き差別や排除を受けるものである。

 なるほど「放射線被曝」の偏見と同じ構造だ。
「放射線被曝」とは物質では無い。「影響を受けた」だけのことである。「とおりすぎただけ」のものである。「残留物など存在しない」。

 こういうのが本当の「基礎学力」であると思う。受験学力では無い本当に知っているべき知識とおもう。
 さらに「避難しただけ=被爆している」という思考も問題だ。今の避難地の放射線レベルは、なんら健康被害がないレベルだ。原発は決して核爆発はしない。そういう点でもこの事件は「いわれなき差別」だ。

さらに補足すると、

(3)「けがれ」という物質は人に何らかの害をなす。

(4)「けがれ」が発生するのは何らかの「悪い行為」たとえば、「動物を解体して食肉にする」「動物の皮を製品にする」といった行為で発生すると考えられていた。

(5)死者に触れる、近くにいると「けがれが付着する」と考えられている。
 
(6)「何が悪い行為か」は連想の論理や、単なる流行で決まる。

 という点も重要である。これは「部落差別」の発生原因になったからだ。
「部落差別」というのは「どこかの偉い人が差別しろ」と決めたから発生したのでは無い。「一般大衆」が「けがれ思想に染まったため」、一般大衆が、特定職業集団を「けがれている」と避けたり、排除した結果であるからだ。つまり「普通の人々の基礎学力の問題だった」わけだ。
 そしてさらに恐ろしいことに、当初の「けがれの原理」は忘れられ「何だか知らないがみんなが差別するから、差別する」結果になっただけなのである。

 これを「放射線被曝」に置き換えてみよう。かつての愚かな「部落差別・特定職業差別」と同じ論理・発想ではないか?
 あなた方一人一人が「けがれ思想」の構造に染まらないよう、毅然として「放射線被爆者を差別するのは間違っている」と思わなければ、こういう差別は無くならない。「みんなが差別するから、私も差別する」という愚かな思考に陥らないように、自分の頭でよく考えよう。

これについての文献は

住本 健次・板倉 聖宣『差別と迷信―被差別部落の歴史 (社会の科学入門シリーズ)』仮説社
 を是非お読みいただきたい。
 
 あなたが差別に荷担しないために。

LINEで送る

コメント


認証コード1364

コメントは管理者の承認後に表示されます。